トイレの水が止まらないのは浮き玉が原因かも!症状と交換の仕方
私たちが毎日使うトイレ。お手入れやメンテナンスが必要なイメージはあまりないのではないでしょうか?ですが、それは大間違い。トイレタンクの蓋を開けてみると、さまざまなパーツによってトイレの仕組みが構成されていることがわかります。そして、それらのパーツは劣化したり故障するもので、永久に使えるわけではないのです。
今回は、「トイレの水が流れない」そんなお困りの際に考えらえる原因と故障パーツについて解説いたします。「浮き玉」や「ボールタップ」「ゴムフロート」など、みなさんが聞きなれないトイレのパーツも登場しますが、交換方法までわかりやすくご紹介いたしますので、当コラムを参考にトイレトラブルを解決してくださいね。
目次
浮き玉が原因で水が「止まらない・流れが悪くなる」ことがあります
まずは、トイレの水が流れる仕組みに大きく関わっている「浮き玉」についてご紹介いたします。「浮き玉」の役割や浮き玉の異常により起こるトラブル、交換方法について知っておきましょう。
トイレの浮き玉の役割
トイレタンク内の水量を保つこと、それが浮き玉の役割です。トイレタンクの中はいつも一定の水位まで水が溜まっていて、その溜まった水を使ってトイレの水を流しています。ということは、水を流すことでタンク内の水量は減ってしまいますよね?
その、減ってしまった水量を調整するために「浮き玉」が役立つのです。浮き玉は空洞になっていて水よりも軽いので、トイレタンクの中の水量に応じて上下します。
「浮き玉」は、ボールタップというタンクへの給水を担う部品の一部と連動しています。水量の減少により浮き玉の位置が下がることで給水口を開き給水することができる仕組みになっているのです。
また、浮き玉は水位に合わせて上昇しますから、規定の位置まで浮き玉の位置が戻ると再び給水口が閉じて給水を終了します。このように、トイレタンク内の水量を一定に保つのが、浮き玉の役割なのです。
浮き玉の異常で起こるトラブル
トイレタンク内の水量を一定に保つ浮き玉ですが、その浮き玉も「破損」や「他のパーツに引っかかる」などの異常をきたすことがあります。そうすると、浮き玉は水位によって正確に上下することが困難となりますから、適切な給水をおこなうことができなくなるのです。
浮き玉の異常により給水されない場合もありますが、その逆で給水が止まらずにタンクから水が溢れてしまうという厄介なトラブルにつながるおそれもありますので、浮き玉の定期的なメンテナンスや交換は、トラブルなくトイレを使うためにも欠かせない作業なのです。
浮き玉の交換時期
浮き玉は異常をきたすことがない限り使用することができますが、経年とともに劣化や破損をしてしまう場合もあります。不具合を感じるようであれば、トイレタンクの蓋を開けて浮き玉を確認してみてはいかがでしょうか。
もし浮き玉を確認した際に変形や破損がみられるのなら、そのときは浮き玉の交換タイミングです。浮き玉の交換方法については当コラムの後半でご紹介いたしますので、ぜひ確認してみてください。また、自分での交換が難しい場合にはプロに依頼してみるのもよいでしょう。浮き玉を正常な状態に保っておくことは、トラブルなくトイレを使うための大切なポイントです。
トイレの水が止まらない原因はタンク内の水位でわかる!
トイレの水が止まらないのなら、まずは原因を突き止めましょう。水が止まらない原因はトイレタンク内の水位によって突き止めることができますので、水位ごとに考えられる原因や原因箇所を以下にご紹介してまいります。
【症状1】タンク内の水位が高い
タンク内の水位が高いということは、水が過剰に給水されているということ。過剰に給水されている水が次々に便器へ流れていくため、水が止まらないという状況になっていると考えられます。このような状況で考えられるのは、タンクへの給水に関する部位の不具合です。
タンクへの給水を担っている部位といえば、先ほど紹介した浮き玉、そして浮き玉と連動しているボールタップ部分。まず、浮き玉や浮き玉を支える支持棒の破損などを確認し、それでも異常がないのであれば、給水口につながるボールタップに異常がある可能性が高いでしょう。
また、浮き玉を手に取り持ち上げても給水が止まらない場合も、ボールタップ部分が故障していますので、パーツ交換をする必要があります。浮き玉とボールタップの交換方法は当コラムの後半でご紹介いたしますので、参考にしてください。
【症状2】タンク内の水位が低い
タンク内の水位が低い場合は、排水に関係するパーツで不具合が起こっている可能性が高いです。タンク内の水はトイレレバーを動かすことで排水されるのは、みなさんもご存知でしょう。
トイレレバーはタンク内の排水口を覆うゴムフロートというキャップと鎖でつながっています。トイレレバーを動かすことで、トイレタンク内の排水口を覆っているゴムフロートを上部にずらし排水させることができます。つまり、トイレレバーとゴムフロートをつなぐ鎖や、排水口を塞いでいるゴムフロートに異常がある場合、排水が止まらず水が流れっぱなしになってしまうトラブルが起こるのです。
そしてもう1点、タンク内にはオーバーフロー管という管が通っています。この管はタンク内の水を溢れさせないように設置されています。水位が上がりすぎた場合にタンク内の水がこのオーバーフロー管を通り排水口から排水される仕組みです。このオーバーフロー管に割れやヒビなどの破損があった場合は水位が下がり続けてしまうため、トイレの水が止まらないというトラブルが発生します。
タンク内の水位が低い場合は、まずレバーからつながる鎖の絡まりがないか、そしてゴムフロートやオーバーフロー管に破損がないかを調べてみましょう。その際、もし各パーツが破損している場合は、交換が必要です。ゴムフロートやオーバーフロー管の交換方法も、当コラムの後半にてご紹介いたします。
【症状3】タンク内の水位は正常
次に、タンク内の水位は正常なのに水が止まらない場合の原因について解説してまいります。タンク内の水位が正常な場合は、さきほどもご紹介した排水口を覆っているゴムフロートに問題がある可能性が高いです。
経年により劣化したゴムフロートは、穴や歪みが生じます。そこからチョロチョロと水が漏れてしまうことで、タンク内の水位は正常なのにトイレの水が止まらないという現象が起こるのです。この場合も、ゴムフロートの交換によって問題を解決することができます。
【症状4】タンク内で水が少量漏れている
タンクからチョロチョロと水の流れる音が聞こえてくる……この場合は、タンク内で水漏れを起こしているおそれがあります。このタンク内での水漏れは、ボールタップの故障や、ゴムフロートの破損やズレが原因です。
ボールタップとゴムフロートをチェックし、不具合の原因を突き止めましょう。交換が必要な状態であれば、当コラムの後半でご説明する交換方法を参考にしてください。ただし、不具合の原因を自分で突き止めるのが難しい場合もあるでしょう。そんなときは、プロに相談し原因を究明してもらうのもひとつの手ですね。
自分で修理して直してみよう!
ここまでで、ご家庭のトイレの水が止まらない原因を突き止めることができたのではないでしょうか?それでは、原因部分ごとの交換方法をわかりやすくご紹介してまいります。
【対処1】ボールタップ(浮き玉)の交換の仕方
まずは、ボールタップの交換方法についてご紹介します。用意するもの、また交換手順について、ひとつひとつ確認してみましょう。
【用意するもの】
・ご家庭のトイレの型に合ったボールタップ
ボールタップには、正規品と汎用品があります。正規品をメーカーから取り寄せる場合は日数がかかりますので注意してください。汎用品を使用する場合は、ホームセンターなどで即日購入が可能です。ただし、ご家庭のトイレの型に合ったものか確認が必要です。
・マイナスドライバーやモンキーレンチ
止水栓を開け閉めするためのマイナスドライバー、そしてタンクに取り付けられたボールタップを取り外すためのモンキーレンチを用意しましょう。
・ゴム手袋
トイレタンク内のパーツを交換する場合は、タンク内の汚れや劣化したパーツにより手を汚してしまう場合があります。ゴム手袋で手の汚れを防ぎましょう。
【交換手順】
1.止水栓を閉め、タンク内の水を抜く
まずは、マイナスドライバーを用いて止水栓を閉めましょう。閉める場合は、止水栓を時計回りに回します。閉め終わったら、トイレレバーを回してタンク内の水を抜き、タンクへの給水が止まっているか確認してください。
2.タンクの蓋を開ける
水が抜けたら、タンクの蓋を開けます。タンクの蓋に手洗い管がついている場合はホースがつながっていますので持ち上げながら外しましょう。簡単に固定されているだけなので、手で簡単に外すことができます。
3.ボールタップを取り外す
給水管側に取り付けられた、小さいナットとツバ付きの大きなナットの2つを、モンキーレンチを使って取り外しましょう。2つのナットを取り外すことで、タンクからボールタップを取り外すことができます。
4.新しいボールタップを取り付ける
外すときとは逆の手順で、新しいボールタップを取り付けます。タンク側から新しいボールタップを給水管へ向かって取り付け、給水管側から2つのナットを用いて固定します。
このとき、新しい固定用のパッキンをつけることを忘れないようにしてください。また、ナットを固定する際に強く回しすぎると中でパッキンの歪みが生じてしまいますので、閉めすぎには注意しましょう。
5.止水栓を開けてタンク内の水量を調整する
ボールタップの固定が終わったら、止水栓を開けましょう。今度は、止水栓を反時計回りに回します。止水栓を開いたら、給水管部分から水漏れがないか確認をしてください。
そして、ボールタップの調整をしながらオーバーフロー管の下2~3cmのところまで水を張りましょう。ボールタップの水量調整については商品により方法が異なりますから、購入したボールタップの取り扱い説明書に従ってください。
6.タンクの蓋を元に戻す
タンクの蓋を元に戻して、ボールタップの交換は完了です。
【対処2】ゴムフロートの交換の仕方
次に、ゴムフロートの交換方法についてご紹介します。用意するもの、また交換手順について確認していきましょう。
【用意するもの】
・ご家庭のトイレの型に合ったゴムフロート
ゴムフロートにも正規品と汎用品があり、汎用品はホームセンターなどで即日購入が可能です。ただし、近年製造されたトイレの場合、正規品のゴムフロートでないと交換ができない場合もあるようです。もし汎用品を購入する場合は、ご家庭のトイレの品番を控えたうえで購入しましょう。
・マイナスドライバー
止水栓を開け閉めするためのマイナスドライバーを用意しましょう。
・ゴム手袋
劣化したゴムフロートに手で触れてしまうと、ゴム表面の粉吹きによる黒い汚れが付着します。この黒い汚れは手洗いでも落ちにくいので、必ずゴム手袋をして作業しましょう。
【交換手順】
1.止水栓を閉め、タンク内の水を抜く
まずは、マイナスドライバーを用いて止水栓を閉めましょう。閉める場合は、止水栓を時計回りに回します。閉め終わったら、トイレレバーを回してタンク内の水を抜き、タンクへの給水が止まっているか確認してください。
2.タンクの蓋を開ける
水が抜けたら、タンクの蓋を開けます。タンクの蓋に手洗い管がついている場合はホースがつながっていますので持ち上げながら外しましょう。これは簡単に固定されているだけなので、手ですぐに外すことができます。
3.古いゴムフロートを取り外す
トイレレバーから鎖を取り外し、古いゴムフロートを排水口から取り外します。このとき、オーバーフロー管の部品にも鎖が通っていますので、オーバーフロート管を破損させないよう気をつけてください。
4.新しいゴムフロートを取り付ける
新しいゴムフロートの鎖をトイレレバーに取り付けます。そして、元のようにゴムフロートを排水口に取り付けましょう。
5.鎖の長さを調整する
トイレレバーを回した際に、きちんとゴムフロートが持ち上がる長さに調整してください。短めに調整すると、水を流す際に多くの水が排水され、長めに調整した場合は少しの水が排水されます。節水をお考えの場合は、少し長めにしておくとよいでしょう。
6.止水栓を開けてタンク内の水量を調整する
新しいゴムフロートを取り付けたら、閉めていた止水栓を開きます。止水栓を開ける場合は、反時計回りに回しましょう。止水栓を開いたら、給水管部分から水漏れがないか確認をし、タンク内へ給水します。タンクの水量は、オーバーフロー管の2~3cmほど下を目安としてください。
7.タンクの蓋を元に戻す
タンクの蓋を元に戻して、ゴムフロートの交換は完了です。
【対処3】オーバーフロー管の交換の仕方
オーバーフロー管の交換はボールタップやゴムフロートと異なり、トイレタンクの取り外しが必要です。用意するものや交換手順を以下にご紹介いたします。
【用意するもの】
・ご家庭のトイレの型に合ったオーバーフロー管
オーバーフロー管の場合、ボールタップなどとは異なり汎用品の販売は多くないようです。インターネット通販でも正規のオーバーフロー管が各種販売されていますから、ご家庭のトイレの型と合うものを探してみてはいかがでしょうか。見つからない場合は、メーカーへの問い合わせをおすすめします。
・マイナスドライバーやモンキーレンチ、ウォータープライヤー
止水栓を開け閉めするためのマイナスドライバー、またナットの開け閉めに使うモンキーレンチとウォータープライヤーを用意してください。
・軍手
オーバーフロー管の場合は、タンクの取り外しが必要です。ケガや汚れを防ぐためにも、軍手を用意しましょう。滑り止めがついているものが好ましいです。
【交換手順】
1.止水栓を閉め、タンク内の水を抜く
まずは、マイナスドライバーを用いて止水栓を時計回りに閉めましょう。閉め終わったら、トイレレバーを回してタンク内の水を抜き、タンクへの給水が止まっているか確認してください。
2.タンクの蓋を開ける
水が抜けたら、タンクの蓋を開けましょう。このとき、タンクの蓋に手洗い管がついているのであれば内側からホースが取り付けられていますので、タンクを持ち上げるのと同時にホースを蓋から取り外してください。
3.各取り付けナットをモンキーレンチで取り外す
給水管の接続部分のナットと、タンクを取り付けてあるナットの2ヵ所のナットをモンキーレンチで取り外します。
4.トイレタンクを取り外す
トイレタンクを取り外しましょう。そのまま持ち上げて取り外すことができますが、大変重たいので注意が必要です。
5. 古いオーバーフロー管を取り外す
オーバーフロー管の取り外しは、タンクの下部からおこないましょう。排水口部分にオーバーフロー管を固定してある締め付けナットがありますから、ウォータープライヤーを使って取り外してください。
6. 新しいオーバーフロー管を取り付ける
新しいオーバーフロー管を、今度はタンクの内側から差し込みます。そして、タンク下部からウォータープライヤーを使って根元部分のナットを固定します。
7.タンクを取り付ける
取り外したタンクを再びトイレに取り付けます。最初に取り外した給水管の接続部分のナットと、タンクを取り付けてある2ヵ所のナットをモンキーレンチで固定してください。
8.ゴムフロートの鎖の長さを調整し、止水栓を開ける
トイレレバーを動かした際に、きちんとゴムフロートが持ち上がるか確認をしましょう。この確認ができたら、止水栓を反時計回りに回してタンク内へ給水をしてください。タンク内への給水は、オーバーフロー管の2~3cm下のあたりが適量です。
9.タンクの蓋を元に戻す
タンクの蓋を元に戻して、オーバーフロー管の交換は完了です。
修理は自分と業者、どっちのほうがいいの?
ここまで読んで、トイレのパーツを自分で修理するか業者に依頼するかお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんね。この章では、自分で修理した場合のメリットやデメリットをご紹介いたしますので、ぜひ修理方法を決定する際にご参考になさってください。
【自分で修理するメリット】
- 自分の都合のよいタイミングで修理ができる
- 業者に依頼するよりも費用がかからない
【自分で修理するデメリット】
- 作業のためモンキーレンチやウォータープライヤーなどの工具を揃える必要がある
- 交換のためパーツの取り寄せ、手配が必要な場合がある
- 不具合の原因を突き止められず誤った対処や修理をするおそれがある
- 無理な作業でトイレのパーツを破損させてしまうことがある
このように、自分での修理は費用面やタイミングといった利点がありますが、デメリットもつきものです。とくに、自分での無理な作業によって便器の蓋や便座を破損させてしまったり、タンクにヒビを入れてしまうなど大きなトラブルがあれば、トイレごと交換するといった大きな問題に発展しかねません。自分での修理や交換作業をおこなうことに不安がある場合は、業者に依頼することをおすすめします。
トイレトラブルを依頼してかかる費用相場
業者にトイレの修理を依頼したいと思われた方も、かかる費用についてご不安ではないでしょうか?最後に、トイレトラブルに関する費用相場についてご紹介いたします。
- トイレの水漏れ:8,000~11,000円
- タンク内の部品交換(タンクの着脱あり): 12,000~16,000円
- タンク内の部品交換(タンクの着脱なし):8,000~12,000円
上記にご紹介したものは一般的な費用相場です。個々の状況に応じてかかる費用は変動いたします。また、この修理料金に加えて出張料金がかかる場合があることも覚えておいてくださいね。
ご家庭でのトイレトラブルの修理について詳細な費用が知りたい場合は、業者へ見積りを依頼することをおすすめします。弊社の「水漏れ修理お助け隊」へご相談いただければ、業者をご紹介し、無料でお見積りさせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。